なんとなく疲れが抜けない
寝てもスッキリしない…
そんなときは、
サプリを飲めば一発で回復するかも
今日はがんばったし、甘いものを食べれば元気になるはず
そう思って“即効性”を求める方法をくり返していましたが、正直解決できていない気がしていました。
そんなときに出会ったのが『休養学』(片野 秀樹 著)。
読んで、疲れの正体が「体内エネルギー(ATP)とアデノシンの仕組み」にあることを知ったり、「たくさん寝れば回復する」というのは思い込みだったことなど、回復方法を見直すきっかけになりました。
本記事では、『休養学』から得た気づきをもとに、日常で実践できる“オーガニックライフノーツ流:整える休養習慣”をご紹介します。
※本記事は、書籍『休養学』(片野秀樹 著)を読んだうえで、編集者自身の理解と解釈をもとにまとめた内容です。医療的なアドバイスを目的としたものではありません。
1. 疲れが取れないのは「根本原因」がある

「以前は、一晩ぐっすり眠れば疲れが取れる」と感じていたのに、
年齢や生活環境の変化とともに、“休んでも回復しきらない感覚”が続くようになった――そんな経験はありませんか?
私自身、睡眠や食事にそれなりに気を配っているつもりでも、日々のだるさや集中力の低下が抜けないことに、ずっとモヤモヤしていました。
そんな中で読んだ『休養学』では、疲れを単なる「体力の消耗」ではなく、脳・自律神経・栄養状態・意思決定のストレスなど複数の要因から成り立つ現象としてとらえ直しており、納得感がありました。
1.1 睡眠不足や疲労感の勘違い
「休養学」では、現代人の疲れについて次のような視点が示されています。
- 疲れの原因は睡眠不足だけではない
- 疲労感は、自律神経の乱れや“判断疲れ”とも深く関係している
- ATP(体内エネルギー)とアデノシン(疲労のサイン物質)の働きが疲労感に影響している
こうした視点から見えてくるのは、「寝れば治る」という考えだけでは、複雑な疲れの正体を見誤ってしまうということ。
特に、何もしていないのに
「もう頑張れない」「限界かもしれない」
と感じるとき——
それは精神的な疲労のサインであり、見過ごすとうつ症状やバーンアウトにつながるリスクがあるのだと著者は警鐘を鳴らします。
1.2 疲労と疲労感は“別モノ”って知ってましたか?
ここで覚えておきたい大切なポイントがあります。
それは、「疲労」と「疲労感」は、まったく別のものだということです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 疲労 | 過度の肉体的・精神的な活動によって、身体や脳の機能・パフォーマンスが低下している“状態” |
| 疲労感 | 「だるい」「つらい」「やる気が出ない」といった、主観的な“しんどさ”の感覚 |
この2つは一致するとは限りません。
- 疲れているのに、疲労感を感じない(無理をし続けてしまう)
- しっかり休んだのに、まだ疲れが取れていないように感じる(実際には回復している)
こうしたギャップは、自分の状態を正確に把握できなくなる大きな要因です。
2. 疲れの正体を知る:ATPとアデノシン
2.1 ATPとは何か?
私たちの体が活動するために必要なエネルギーの“源”が、ATP(アデノシン三リン酸)です。筋肉を動かす、考える、内臓を働かせる――すべての動作はこのATPによる分解で得られるエネルギーによって成り立っています。
ATPは「生命のエネルギー通貨」とも呼ばれ、これが不足すると体も心もパフォーマンスが大きく落ちてしまいます。
- ATPが十分なとき:軽快に動ける、集中力が続く、前向きに考えられる
- ATPが不足しているとき:体が重い、ぼーっとする、不安やイライラが増える
ATPは、言わば“充電された電池”のようなものです。たっぷりあれば活動的に動けますが、減っていくほどに疲労感として現れていきます。
2.2 ATPとアデノシンの関係
ではなぜ「疲れた」と感じるのか。そのカギとなるのが、ATPを使い終えた後に生まれるアデノシンという物質です。
ATPは「アデノシン+リン酸が3つ」と構成されており、活動(エネルギー消費)によって次のように分解されます:
つまり、ATPをたくさん使えば使うほど、アデノシンは増えていく仕組みです。
- 食事・呼吸でエネルギー(ATP)を生成する
- 日中の活動(仕事・運動・思考)でATPを消費する
- 使用されたATPが分解されて、アデノシンが増える
- アデノシンが脳や身体に「休んで」という信号を出す
- 休息・栄養・整った環境でATPが再合成される
- アデノシンが減り、疲労感が解消し活動できるようになる
まとめると、
・アデノシン=疲れてますよという警告信号
・ATP=活動のためのエネルギー源そのもの
この2つは常にセットで働いています。
『休養学』では、「疲れとは、ATPが使われて生まれたアデノシンが脳に蓄積された状態」だと説明されています。
2.3 疲労感=アデノシンの蓄積による脳の警告
脳は、ある程度以上にアデノシンが蓄積されると、休息を促すために「だるい」「眠い」「やる気が出ない」といった感覚を通じて警告を発します。
これが、「疲れた」「何もしていないのにしんどい」「集中できない」といった状態の正体です。
この警告を無視して活動を続けると、さらに強い疲労感や精神的不調(やる気喪失、不安、軽度のうつ傾向など)へと進むことがあります。
2.4 なぜ“寝るだけ”では回復しないのか?

では十分に眠ればアデノシンが減るはずですが、実際には「寝ても疲れが抜けない」という声が多いのはなぜでしょうか。
それには以下の3つの原因が関係しています。
1. 自律神経の乱れ
ストレス、夜遅くまでのスマホ使用などが影響し、交感神経が優位なままで深い休息がとれない。
2. 判断疲れ(意思決定の消耗)
毎日の「何を食べる?」「何を着る?」という小さな決定の積み重ねが脳のエネルギーを消耗している。
意思決定は思ったよりエネルギーを使う。
3. ATP再合成に必要な栄養不足
もともとATPを作るには、タンパク質・ビタミンB群・マグネシウム・酸素などの材料が必要です。これらが欠けていると、睡眠だけでは“電池の充電”が進まず、アデノシンが減らず疲れが残ります。
こうした複合要因があるため、現代人の疲労は「寝るだけでは抜けない」状態になっているのです。
2.5 糖分による“即効回復”の落とし穴
エネルギー不足=「糖分をとれば回復する」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。
ブドウ糖や甘いものを摂ると、血糖値が急上昇し、一時的に元気が出たように感じるかもしれません。
しかしその後、血糖値が急降下する「血糖値スパイク」が起こり、強い眠気・集中力の低下・だるさを引き起こす可能性があります。 また、慢性的な糖分のとりすぎは肥満・糖尿病・代謝リスクにもつながるため注意が必要です。
『休養学』でも重要視されているのは、「疲れにくい体を整えること」。
甘いもので“ごまかす”のではなく、ATPの材料となる栄養をバランスよく摂ることが、根本的な回復への近道です。
▶ 糖質制限って頭おかしい?そうとは言い切れない5つの理由と3つの視点
3. コーヒーは“疲れをごまかす”?|カフェインの仕組みと使い分けのコツ

カフェインはアデノシンの受容体をブロックする働きがあります。つまり、アデノシンが増えていても、受容体に結びつけず「疲れた」という信号が届かず、一時的に元気になったように感じるのです。
でも実際には、体内にアデノシンは溜まったまま。覚醒している=回復している、ではないため、カフェインの常用は「疲れをごまかす」だけで根本解決にはなりません。
3.1 カフェインは時間帯で使い分ける
そのため、カフェインは時間帯で使い分けるのがコツです。
午後:デカフェやノンカフェイン飲料に切り替える
夜:ハーブティーやほうじ茶で副交感神経の優位な状態をつくる
この“使い分け”が、疲労回復を邪魔せず、覚醒作用だけを活かす賢い方法です。
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4. 本当に休めてる?質のいい休養をつくる3つのカギ
疲れを回復させるうえで欠かせないのが、リラックスモードを担う「副交感神経」の働きです。
交感神経(=活動モード)と副交感神経(=回復モード)のバランスが乱れていると、寝ても疲れが抜けなかったり、常に体が緊張状態になってしまったりします。
4.1 ①自律神経とは?
自律神経とは、私たちの意思とは関係なく、体の状態を自動的に調整してくれる神経の仕組みです。
大きく分けて「交感神経(緊張・活動)」と「副交感神経(回復・リラックス)」の2つがあります。
健康なときは、この2つがうまく切り替わることで、心と体の調子が保たれています。
しかし、ストレス過多・夜更かし・スマホのブルーライト・多忙なライフスタイルなどが続くと、交感神経が優位になりっぱなしの状態に。
結果、睡眠の質が落ちたり、朝から疲れが残っていたり、「休んでも休まらない」状態になってしまうのです。
4.2 ②休養は7つに分類できる
『休養学』では、「疲れを癒す休み方」は一種類ではなく、7つのタイプに分類できるとされています。
- 生理的休養:睡眠・栄養補給など、体を直接回復させる休養
- 心理的休養:趣味・娯楽・自然とのふれあいなど、気分転換を目的とした休養
- 感情的休養:モヤモヤやストレス感情を整理し、心を軽くする休養(例:日記を書く、人と話す)
- 社会的休養:家庭・職場などの“役割”から意図的に距離をとる時間(例:一人で過ごす日)
- 精神的休養:価値観を見直す、自分と向き合う時間(例:瞑想、内省)
- 創造的休養:新しい刺激やアイデアに触れる(例:創作、旅行、料理のアレンジ)
- 自然的休養:自然と触れ合うことで神経を鎮める(例:公園、森林浴、土に触れる)
著者は、「1つのタイプに偏るのではなく、複数を組み合わせることで、より深い休養効果が得られる」と述べています。
「最近、寝ることしか休めていないかも…」と感じたら、感情的・創造的な休養も取り入れてみるのがオススメです。
4.3 ③オススメ|ハーブティー習慣
副交感神経を整えるために、日常に取り入れやすいのがハーブティーです。
特に、カモミール・ラベンダー・レモンバームなどには、香りと植物成分の両方からリラックス効果が期待できます。
カモミール、ラベンダー、レモンバームなどのハーブには、香りや成分によって神経を落ち着かせる作用があるとされています。
中でもラベンダーの香りは、副交感神経の働きを高める可能性があるとして、自律神経との関係を調べた実験報告も存在します。
香りには、嗅神経から直接大脳辺縁系へ信号が入り、視床下部を介して自律神経・内分泌・免疫系に影響を及ぼすという報告もあります。
夜の「おやすみ習慣」を整えることで、ただの休憩を“回復につながる休養”に変えることができます。
・お風呂上がりに温かいハーブティーを一杯
・スマホやPCを寝る1時間前に終える
・照明を暖色系に切り替える
・軽いストレッチや深呼吸を組み込む
こうした習慣が、脳・体・心を“休むモード”へと自然に切り替えていきます。
ハーブティーについては、関連記事も参考になるかもしれません。
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日本茶の中でも、焙煎香が豊かな「ほうじ茶」や「黒豆茶」などは、香ばしい香りによるリラックス効果が期待できるという点で、ハーブティーに近い役割を果たしてくれると言えます。
また、カフェインを避けたい場合は、「黒豆茶」や「ごぼう茶」、桑の葉を原料としたノンカフェインの「ほうじ茶」などを選ぶと安心です。
5. “疲れる選択”を減らす
私たちは、1日に数千回の意思決定をしていると言われています。
この“判断の連続”が脳のATPを消費し、知らず知らずのうちに疲労を蓄積しているのです。
特別何かをした気がしないのに疲れている……という方ほど、日常の意思決定を見直してみてください。
5.1 私たちは1日に数千回の意思決定をしている
朝の「何を着るか」「何を食べるか」から始まり、仕事中の選択、帰宅後の買い物や夕食作りまで――
私たちは無意識のうちに、1日に数千回の意思決定を繰り返しているとも言われています。
つまり、選ぶという行為そのものがATP(体内エネルギー)を使ってしまうのです。
5.2 一部分だけでも「時短」や「ルーチン化」する
判断疲れを減らすには、生活の一部を「時短」や「ルーチン化」するのも効果的です。
たとえば:
- 朝の服装やランチをある程度固定化する
- 冷凍ストックで「今日は疲れたからこれ」と選択肢を絞っておく
- 食材宅配やミールキットで「献立を決める負担」を減らす
こうした工夫をすることで、脳のエネルギーを節約し、回復に回せるリソースを残すことができます。
忙しいときの“何を食べるか”という選択は、思った以上にエネルギーを消耗するもの。
ミールキットやストック食材をうまく取り入れることで、「考える負担」を減らしつつ栄養を確保するという方法もあります。
▶ 忙しいときでも安心。無添加で整うミールキット&食品宅配【2025年版】
6. エネルギーを作る食事が、疲労回復のカギ
「食事=栄養補給」というだけでなく、食事=ATP再合成の材料補給と捉えることが、疲れにくい体をつくるポイントです。
6.1 疲れに効く栄養素
主な栄養素とその役割は次の通りです:
- タンパク質:アミノ酸として筋肉・細胞の材料になる
- ビタミンB群:糖質・脂質・タンパク質の代謝を助ける
- マグネシウム:ATPの活性や神経興奮の抑制に関与
これらの栄養素をバランスよく取り入れることが、ATPが再合成され、疲労物質のアデノシンが減るために不可欠です。
6.2 疲労回復におすすめの食材

ATP再合成に必要な栄養素(タンパク質・ビタミンB群・マグネシウムなど)が疲労回復に必要であることを踏まえ、以下のような食材が日常的に取り入れやすい例として挙げることができると考えます。
- 卵:吸収率の高い完全栄養食
- 大豆食品:植物性タンパクとイソフラボンでホルモンバランスにも◎
- 鶏むね肉:高タンパク低脂質でコスパも良好
- 甘酒:発酵食品でビタミンB群やアミノ酸を含む「飲む点滴」
これらの食材を日常に取り入れ、疲れにくく回復しやすい体を目指しましょう。
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7. 「疲れにくい」自分になる|日常の仕組み化
ここまで見てきたように、疲れは“即効で消せるもの”ではなく、回復しやすい体・心・環境に整えることで改善していけます。
・副交感神経が働く夜の過ごし方(例:照明・音・ハーブティー・ストレッチなど)
・判断疲れを減らす仕組み化
・ATPの材料を日常的に摂る食事
※ATP…アデノシン三リン酸。体のバッテリーと言える物質
これらをバラバラに実践するのではなく、“ひとつのライフスタイルとして”統合していくことが鍵です。
7.1 休養の質を高める“4つの条件”
『休養学』ではさらに、「質の高い休養」には共通する4つの条件があるとされています。
それは、
- 自分で選んだこと
- 成長につながること
- 楽しめること
- 仕事などの役割から切り離されていること
この4つが揃ったとき、私たちの脳と心は「これは本当に自分のための時間だ」と認識し、深く回復していくのだそう。
たとえば、「自分で選んだ趣味の習い事」や「創作活動」「自然の中を散歩する時間」などは、この4つを満たしやすい活動です。
単に「何もしない」のではなく、「自分にとって意味のある休み」を意識することで、回復の質が変わってきます。
8. 『休養学』を読む
「疲れを取るにはどうすればいい?」という問いに答えてくれる一冊、それが『休養学』です。
この記事で紹介した内容はその本のほんの一部にすぎませんし、『休養学』を正しく知るために、ぜひ手に取って読んでいただきたいです。
『休養学』の章立ては以下のようになっています。
第1章 日本人の8割が疲れている
第2章 科学でわかった!疲労の正体
第3章 最高の「休養」をとる7つの戦略
第4章 眠るだけでは休養にならない
第5章 新しい「休み方」をはじめよう※引用:『休養学』目次より
個人的に特にオススメなのは第2章~第4章。
疲れの正体と、それにどう向き合えばいいのかが深く理解できます。
8.1 書籍版:必要な部分を何度でも読み返しやすい
書籍版は、付箋を貼ったりと「自分だけの休養マニュアル」として見返しやすく工夫することができるのが利点です。図解が多く読みやすいのが「休養学」の嬉しいところのひとつ。
また、スマホやPCから離れ、“自分と向き合う”時間にも最適です。
8.2 Audible版:“ながら学び”で疲れずに吸収

耳から“読む”Audible版なら、通勤や家事、散歩の時間を有効活用できます。
視覚を使わずに情報を取り込めるので、判断疲れを生みにくく、疲労感を感じずに続けられるのが特徴です。
9. まとめ:疲れの正体を知って、うまく付き合おう
9.1 休養リテラシーという考え方
『休養学』が教えてくれた最も印象的なことのひとつは、「休み方はスキルであり、学べるもの」だという視点でした。
私たちは、食事や運動についてはある程度の知識がありますが、「どう休めば本当に回復できるのか?」については、意外と体系的に学んできていません。
片野氏はこれを「休養リテラシー」と呼び、疲れを溜めないためには、自分に合った休み方を“設計する力”が必要だとしています。
つまり、「休養=気合で乗り切る」「たくさん寝ればOK」ではなく、
休むことも、人生設計の一部として磨いていくべきスキルなのだと気づかされました。
9.2 「疲れた」は体のサイン|小さな習慣が“本当の休養”になる
疲れは、「あなたの体からの“そろそろ休んだほうがいい”というサイン」。
それを無理にかき消そうとするのではなく、「あ、ちゃんと知らせてくれてるんだな」と受け止めるだけで、向き合い方が変わってきますよね。
たとえばストレスですら、私たちを奮起させ、やる気を引き出してくれる側面を持っています。
『休養学』を通して感じたのは、疲れは意志の弱さでも、年齢のせいでもなく、体の仕組みとして自然に起こる現象だということ。
大切なのは、過剰になったときにどう整えるか、そして“長引かせない仕組み”を作ること。
カフェインの使い分け、夜のハーブティー、判断疲れを減らす工夫、そして栄養の見直し――。
小さなことでも、体の声に応えるような習慣を積み重ねていくことが“休養”に繋がります。
今すぐ劇的に疲労が消える方法はないけれど、毎日の中に「整える」習慣を取り入れていくことで、じわじわと確かな変化を感じられるはずです。
