「無塩せき(むえんせき)」と聞くと、「体に良さそう」「安心して食べられそう」といったイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、その裏には見落としがちなデメリットも存在します。
この記事では、無塩せきハムやウインナーを選ぶときに知っておきたい5つの注意点を、わかりやすく解説します。後半では、選ぶためのポイントや、よくある疑問も解消していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 無塩せきとは?
1.1 【結論】無塩せきとは「発色剤を使わない製法」

「無塩せき」とは、ハムやウインナーなどの加工肉を作る過程で、発色剤を使わない製法のことを指します。通常のハムでは「亜硝酸ナトリウム」という添加物が使用され、鮮やかなピンク色に仕上げられますが、無塩せき製品はこれを使用しないため、素材本来の色に近い仕上がりになります。
発色剤は微量であれば食品衛生法で認められていますが、過剰摂取により健康リスクが指摘されることもあり、避けたいという消費者ニーズから無塩せき製品が増えてきました。
赤肉、加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが「確実」と判定されており、赤肉は調理後の重量で週500グラム以内、加工肉はできるだけ控えるように、と勧告しています。
2. 無塩せきウインナー・ハムのおすすめ製品3選【国産・無添加】
まずはオーガニックライフノーツがおすすめの、無塩せき&国産豚肉使用にこだわった3製品をご紹介します。
2.1 ① やまと豚 無添加プレーンウインナー
- 特徴:国産ブランド豚「やまと豚」使用、無添加・無塩せき。【冷凍保存】で届き、必要な分だけ解凍して使えます。
- おすすめ理由:ジューシーで旨味たっぷり。朝食にもディナーにも幅広く使える日常向けの一品。
2.2 ② 九州産豚肉使用 あらびきウインナー
- 特徴:九州産の国産豚肉を使用、無塩せき・保存料・着色料不使用。安心の国内製造。
- おすすめ理由:価格も手頃で、家族みんなが食べやすいナチュラル系ウインナー。プレーンから辛口、ゆずこしょう、猪肉や鹿肉など珍しいフレーバーも魅力。
2.3 ③ バルナバハム 北海道産無塩せきハム・ウインナー
- 特徴:北海道産豚肉を使用し、保存料・着色料不使用。骨なしタイプで調理しやすい設計。
- おすすめ理由:無塩せきにこだわりあり!ベーコン・ハム・ウインナーの詰め合わせ。おかずからおつまみまで幅広く使えます。贈り物にも◎
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3. 無塩せき製品の“日常の5つの落とし穴”
無塩せき製品はイメージで「体に良さそう」「安全そう」と考えて選ぶ方も多いですが、落とし穴も存在します。ここでは“落とし穴”を5つ紹介します。
2.1 ①白っぽい色に違和感
無塩せきハムやウインナーはおすすめ3選をみていただいても分かるように、発色剤を使っていないためピンク色ではなく白っぽい色合いになります。そのため、「見た目が美味しそうに見えない」と感じる人も少なくありません。
ピンク色=しっかり火が通っている証拠となんとなく思っている方にとっては、白っぽい見た目が「これ、ちゃんと加熱されてるの?」という不安につながることも。
実際には加熱済みの製品も多く食べて問題ないケースがほとんどですが、家族に出したときに「これ大丈夫?」と聞かれたり、調理中に焼き加減が判断しにくいストレスがあるかも知れません。
3.2 ②賞味期限が短くて傷みやすい
発色剤には保存性を高める効果もあるため、無塩せき製品はどうしても賞味期限が短くなります。一般的なハムが2〜3週間もつのに対し、無塩せきのものは1週間前後であることも。
そのため、買い置きには向いていません。開封後は特に早めに食べきりましょう。
3.3 ③食中毒リスクがやや高い
保存料が少ないまたは使われていないため、雑菌の繁殖リスクがやや高くなります。特に、冷蔵庫の温度が高かったり、開封後に長時間放置したりすると、リステリア菌などの食中毒菌が繁殖する可能性も。
【参考】厚生労働省「お肉やチーズなどの食中毒について」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/2015072209.pdf)
3.4 ④価格が高くなりやすい
無塩せき製品は素材の仕入れや、製造工程に手間がかかり、量産しにくいため価格が高くなりがちです。
3.5 ⑤「無塩せき」と「無添加」は別物
「無塩せき」と「無添加」は、同じ意味ではありません。
無塩せきはあくまで発色剤を使わないという意味です。
そのため、「無塩せき」と書かれていても保存料や化学調味料が含まれているケースも多いのです。(しかし別のリスクを加味して添加してあることが多い。)

4. 無塩せき=安全・健康とは限らない3つの理由
無塩せき=健康に良い、と思いがちですがリスクはゼロではありません。この章では、「無塩せきなら大丈夫」と思い込むことのデメリットを、3つの視点から解説します。
4.1 ①加工肉の健康リスクはそのまま
2015年、WHOの外部機関IARC(国際がん研究機関)は、加工肉の過剰摂取が大腸がんのリスクを高める可能性があると発表しました。
このリスクの背景には、発色剤に含まれる亜硝酸塩が体内で「N-ニトロソ化合物(NOCs)」という発がん性物質に変化する可能性や、赤肉に含まれるヘム鉄が腸内の酸化を促すことが指摘されています。
さらに、ソーセージやベーコンを高温で焼いた際に生じるヘテロサイクリックアミン(HCA)や多環芳香族炭化水素(PAH)も、DNAを傷つけるリスクがあるとされています。
つまり、無塩せきであっても「加工肉である」という事実そのものが健康リスクと無縁ではないことを、忘れずに意識しておく必要があります。
4.2 ②塩分・脂肪分→控えめとは限らない
たとえ発色剤を使っていなくても、塩分や脂肪分が高い食品であることには変わりありません。
特に、高血圧や脂質異常症の方は注意が必要です。
4.3 ③添加物には“命を守る”側面もある
無塩せきや無添加の製品が注目される背景には、「添加物は体に悪いもの」というイメージがあります。
しかし、添加物の中には私たちの命や健康を守るために使われているものもあるのです。
その代表が、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)への対策です。これは自然界に存在する強力な食中毒菌で、食品中で増殖すると神経麻痺や最悪の場合は死に至る危険性もあります。
とくに真空パックや保存期間が長い加工食品では、ボツリヌス菌の芽胞が発芽・増殖しやすい環境になるため、亜硝酸ナトリウムなどの発色剤や保存料を適切に使うことでリスクを大幅に下げています。
つまり、添加物は「身体に悪そう」と敬遠されがちですが、安全性を確保するために必要不可欠な役割を担っている面もあるのです。
5. 無塩せきを選ぶときに確認したい4つのポイント

5.1 表示ラベルのポイント3つ
1. 「無塩せき」と明記されているか
→ 発色剤(亜硝酸ナトリウム)を使っていないことの目安になります。
2. 「無添加」と書かれているか、または具体的な添加物が記載されていないか
→ 保存料・調味料・化学的添加物の有無を確認しましょう。
→ 「無添加」の表記がない場合でも、原材料欄をしっかりチェック!
3. 原材料名がシンプルか
→ 「豚肉、食塩、香辛料」のようにシンプルであれば、余計な添加物は使われていない可能性が高いです。
5.2 賞味期限と保存方法
賞味期限が短いため、購入後すぐに消費する予定があるときに選ぶのが基本です。保存方法も確認し、「要冷蔵(10℃以下)」などの表示に注意しましょう。
5.3 目的に合った選び方

- 毎日のお弁当に使いたい → 通常の発色剤入りハムのほうが日持ちする
- 子どもに安心なものを → 「無塩せき+無添加+国産表示」の製品を
- 食卓の彩りにこだわらない → 白っぽくても味は十分なので無塩せきを
5.4 原料肉の産地【国産?輸入?】
無塩せきや無添加という表記に安心してしまいがちですが、使われているお肉がどこで生産されたものかにも目を向けることが大切です。
一般的な市販ハムやソーセージの多くでは、外国産(主にアメリカ・カナダ・EU諸国など)の豚肉や鶏肉が使われているケースが一般的です。これはコストの安さや供給の安定性が理由です。
一方で、「国産豚肉使用」「原料肉はすべて国産」などと表示された製品も存在します。価格はやや高めになる傾向がありますが、
- 生産者や産地の情報が明確で安心
- 国産品の方が味にこだわって作られている傾向も
といったメリットがあります。
✅ チェックポイント: パッケージ裏の「原材料名」や「原産国表示」に「国産」と書かれているかを確認しましょう。単に「国内製造」とあっても、加工が日本国内で行われているだけで、原料肉は輸入品という場合があります。
「安心・安全」を重視したい方は、表示をしっかり確認して、国産肉を使った製品を選ぶようにしましょう。
6. よくある質問(Q&A)
6.1 子どもや高齢者にも安心?
添加物が少ない点は安心材料になりますが、保存性が低いため食中毒のリスクが高まる可能性もあります。消費期限・保存方法をしっかり守りましょう。
6.2 毎日食べても大丈夫?
加工肉は週1〜2回程度が理想的です。栄養バランスを崩さないよう、他のタンパク源(大豆、魚、卵など)も取り入れましょう。
6.3 冷凍保存できる?
可能です。密閉して冷凍すれば2〜3週間ほど保存できます。ただし、解凍後は再冷凍せず、早めに食べ切りましょう。
7. まとめ

無塩せきハムやウインナーは、発色剤を避けたい方にとって有力な選択肢ですが、以下のような注意点もあります。
- 見た目や保存性にややデメリットあり
- 無塩せき=無添加ではない
- 加工肉としての健康リスクは残る
大切なのは、「無塩せきだから安心」と思い込まず、表示ラベルをよく見て、自分と家族のライフスタイルに合った製品を選ぶことです。
毎日の食事をより安全・安心にするためにも、選ぶ力を身につけていきましょう。