無添加歯磨き粉は「体にやさしそう」と感じますよね。
ただ、無添加歯磨き粉は泡立ちや爽快感が控えめで、物足りなく感じる方もいます。
この記事では、無添加歯磨き粉のデメリットを整理し、無添加歯磨き粉とは何か、フッ素のことまで解説します。
1. 無添加歯磨き粉のデメリット・メリットとは?
まずは無添加歯磨き粉のデメリットとメリットを見ていきましょう。
1.1. 無添加歯磨き粉のデメリット
無添加歯磨き粉のデメリットは、使用感に物足りなさを感じやすい点です。
・泡立ちが少ない商品がある
・ミントの爽快感が控えめな商品がある
・一般的な市販品より高い場合がある
無添加歯磨き粉の中には、発泡剤を使わない、または控えた商品があります。その場合、泡立ちが少なめになります。
そのため、泡立つ歯磨き粉に慣れている方は、違和感を覚えることがあります。
無添加歯磨き粉は香料が控えめなものが多いです。そのため磨いた後のスーッとした感じが弱く、すっきり感が足りないと感じる方もいます。
また、無添加歯磨き粉は、大量生産の歯磨き粉に比べて価格が高めなことが多いです。
原料費や販売数が価格に反映されている等が考えられます。
1.2. 無添加歯磨き粉のメリット
一方で、無添加歯磨き粉は、発泡剤や合成香料、着色料などを控えたい方に合います。
・添加物を取り込む不安を減らせる
・歯への摩擦(研磨剤等)が気になる方に
・粗塩よりも毎日の歯磨きに取り入れやすい
研磨剤不使用や低研磨タイプなら、歯への摩擦が気になる方にも合います。
ただし、強く磨きすぎることや、硬い歯ブラシにも気をつけたいですね。
また、歯みがきを自然なもので行う場合、粗塩で歯を磨く方法もあります。ただ、粒が粗い塩は歯や歯ぐきへの刺激が気になる場面もあります。
その点、無添加ハミガキなら歯磨き粉として作られているため、普段のケアに取り入れやすいです。
1.3. 無添加歯磨き粉が向いている人
無添加歯磨き粉は、発泡剤・合成香料・着色料などを控えたい方に向いています。
反対に、爽快感や泡立ちを求める方は、合わない場合もあります。
| 見るポイント | 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|---|
| 泡立ち | 泡が少ないほうが丁寧に磨ける人 | 泡立ちで磨いた感がほしい人 |
| 香味 | 強いミントが苦手な人 | 爽快感を重視する人 |
| 成分 | 発泡剤や香料を控えたい人 | 虫歯予防成分を重視する人 |
| 価格 | 成分を見て選びたい人 | 価格を優先したい人 |
2. そもそも無添加歯磨き粉とは?
歯磨き粉の「無添加」とは、何を指すのでしょうか?
2.1. 無添加歯磨き粉は何が無添加なのか
無添加歯磨き粉とは、本記事では「発泡剤・合成香料・着色料など、特定の成分を配合していない歯磨き粉」として扱います。
ただし、「無添加」の中身に統一された決まりがあるわけではありません。
歯磨き粉に添加されている有名な成分で気になるのは、下記3点です。
・発泡剤
・合成香料
・着色料
「無添加」と書かれていても、すべての添加物が入っていないとは限りません。見るべきなのは、無添加という言葉だけでなく「何が無添加なのか」です。無添加については、こちらの記事も参考になります。
▶ 無添加とは?食品・化粧品における意味とオーガニックとの違いを徹底解説
発泡剤、合成香料、着色料とはどんなものなのか、次の章で見ていきましょう。
2.2. 発泡剤や香料、着色料はどんな働きをする?
発泡剤や香料、着色料は、歯磨き粉の使い心地に関わっています。
| 成分 | 主な働き | 控えると起こりやすいこと |
|---|---|---|
| 発泡剤 | 泡立ちを作る | 泡が少なくなる |
| 香料 | 香りや味を整える | 爽快感が控えめになる |
| 着色料 | 見た目の色を整える | 色味がシンプルになる |
ひとつずつ見ていきましょう。
2.2.1. 発泡剤とは?
発泡剤は、歯磨き粉を泡立てる成分です。泡があると、歯磨き粉が口の中に広がりやすくなります。
成分表示では、たとえば次のように書かれることがあります。
| 目的 | 表示例 |
|---|---|
| 発泡剤 | ラウリル硫酸Na |
| 発泡剤 | ラウロイルサルコシンNa |
| 発泡剤 | ココイルグルタミン酸Na |
発泡剤を控えた無添加歯磨き粉は、泡立ちが弱くなります。その分、泡で磨いた気にならず、慣れるまでは物足りなさを感じるかもしれません。
2.2.2. 香料の働き
香料は、歯磨き粉の香りや味を整える成分です。ミントの香りや、磨いた後のすっきり感にも関わります。
表示例は次の通りです。
| 目的 | 表示例 |
|---|---|
| 香りづけ | 香料 |
| 清涼感 | メントール |
| 甘味づけ | サッカリンNa |
合成香料無添加の商品でも、天然由来の香料を使う場合があります。(「香料無添加」と「合成香料無添加」は分けて見ましょう。)
香料を控えた商品は、刺激が少ない反面、爽快感は弱めです。強いミントなどの刺激が苦手な方には合いやすいですね。
2.2.3. 着色料は何のため?
着色料は、歯磨き粉の色を整える成分です。歯磨き粉の見た目をきれいにする目的で使われます。
表示例は次の通りです。
| 目的 | 表示例 |
|---|---|
| 着色料 | 青色1号 |
| 着色料 | 黄色4号 |
| 着色料 | 酸化チタン |
3. 無添加歯磨き粉とフッ素の関係
歯磨き粉の成分で最も気になる成分といえばフッ素です。フッ素に不安を感じる方は少なくありません。
3.1. フッ素とは?実は、自然界にもある物質
フッ素は、元素のひとつです。(元素とは、物質をつくる基本的な成分のことです。)
ただし、歯磨き粉に「フッ素そのもの」が入っているわけではありません。
歯磨き粉に使われるのは、フッ素がほかの成分と結びついたものです。
このように、フッ素が別の成分と結びついたものを「フッ化物」と呼びます。
歯磨き粉では、フッ化物が虫歯予防のために使われます。
成分表示では、「フッ化ナトリウム」や「モノフルオロリン酸ナトリウム」などと書かれます。
| 言葉 | 内容 | 歯磨き粉との関係 |
|---|---|---|
| フッ素 | 元素の名前 | 歯磨き粉にそのまま入るわけではない |
| フッ化物 | フッ素が別の成分と結びついたもの | 虫歯予防成分として使われる |
| フッ化ナトリウム | フッ化物の一種 | 成分表示で見かける名前 |
| モノフルオロリン酸ナトリウム | フッ化物の一種 | 成分表示で見かける名前 |
| フッ化第一スズ | フッ化物の一種 | 成分表示で見かける名前 |
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、フッ化物配合歯磨剤は、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズなどを含む歯磨剤と説明されています。薬用歯みがき類のフッ化物イオン濃度は1,500ppmF以下とも示されています。 (出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」)
「フッ素入り歯磨き粉」と呼ばれる商品も、実際にはフッ化物を配合した歯磨き粉です。
3.1.1 身近な「フッ素」、全部同じなの?
生活の中で身近な「フッ素」。ひとくくりにされることがありますが、実は中身は同じではありません。
歯磨き粉はフッ化物、フライパンはフッ素樹脂、PFASは有機フッ素化合物の総称です。

この3つは別のものだと理解できると、違いも見えてきます。
3.2. フッ化物は歯にどう働く?
フッ化物は、歯を酸に溶けにくくするために使われます。そのため、虫歯予防と関係します。
虫歯は、虫歯菌が出す酸によって歯が溶けることで進みます。フッ化物は、それを抑える方向に働きます。
主な働きは次の3つです。
| 働き | 内容 |
|---|---|
| 再石灰化を助ける | 溶けかけた歯の表面を戻す方向に働く |
| 酸に強くする | 歯が酸で溶けにくい状態に近づく |
| 虫歯菌の働きを抑える | 酸が作られる流れを抑える |
つまり、歯磨き粉のフッ化物は、体に入れて効かせるものではありません。
歯の表面に作用させるための成分です。
3.3. フッ化第一スズは危なくない?
「フッ化第一スズ」と聞くと、スズが入っていて不安に感じる方もいるかもしれません。ここでは、有機スズ化合物との違いと、歯磨き粉としての濃度・使い方に分けて見ていきます。
3.3.1. 有機スズ化合物とフッ化第一スズの違い
まず、食品安全や環境リスクで扱われる有機スズ化合物と、歯磨き粉に使われるフッ化第一スズは別のものです。(出典:食品安全委員会「有機スズ化合物」)
・有機スズ化合物
→ アルキル基やアリール基とスズが結びついた化合物の総称
・フッ化第一スズ
→ フッ化物配合歯磨剤に使われる成分のひとつ
名前に「スズ」と入っていても、同じものではありません。
3.3.2. 「濃度」と「使い方」もセットで見る
フッ化第一スズは、名前だけで判断するより、歯磨き粉としての濃度と使い方で見ます。
日本では、フッ素の配合量が1,000ppmを超え1,500ppm以下の薬用歯みがきについて、注意表示やフッ素濃度の記載が求められています。
メーカーが自由に高濃度で入れているわけではありません。(出典:厚生労働省「フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意について」)
また、歯磨き粉は口の中で使って吐き出す前提のものです。
通常の歯磨きで口に残る程度と、大量に飲み込むことは分けて考えましょう。
特に子どもは、大人が量を出してあげると安心です。使ったあとは、子どもの手が届かない場所に保管してください。
3.4. フライパンのフッ素樹脂やPFASとは違うもの
「フッ素は体に悪い」と言われる背景には、フライパンのフッ素加工やPFASのニュースとの混同が考えられます。
| 名前 | 主な使われ方 | 歯磨き粉との関係 |
|---|---|---|
| フッ化物 | 歯磨き粉の虫歯予防成分 | 歯に作用させる成分 |
| フッ素樹脂 | フライパンなどのコーティング | 歯磨き粉とは別の話 |
| PFAS | 環境問題で話題になる有機フッ素化合物 | 歯磨き粉のフッ化物とは別物 |
食品安全委員会は、フッ素樹脂をフライパンや食品容器包装のコーティング素材として紹介しています。
また、PFASは健康影響評価の対象として扱われています。 (出典:食品安全委員会「フッ素樹脂、パーフルオロ化合物」)
同じ「フッ素」という言葉が入っていても、性質も使われ方も違います。
歯磨き粉の話では、「フッ化物」として考えると別のものだと分かりますね。
3.5. なぜ「フッ素は体に悪い」という話が出るのか
「フッ素」という言葉が広く使われることと、「量」への不安が考えられます。
3.5.1 「フッ素」という言葉が広く使われること
歯磨き粉では、本来はフッ化物が使われます。一方で、フライパンではフッ素樹脂、PFASでは有機フッ素化合物の話になります。
これらは専門的には別のものです。ただ、日常会話や商品説明では「フッ素」と省略されることがあります。
3.5.2 量について
歯磨き粉は食べ物ではありません。フッ素入りでもフッ素なしでも、口の中で使って吐き出すものです。気をつけたいのは、チューブから大量に食べるような使い方です。
日本小児歯科学会が紹介する4学会合同提案では、歯が生えてから2歳は米粒程度、3〜5歳はグリーンピース程度、6歳以上は歯ブラシ全体程度の使用量が示されています。子どもの手が届かない場所に保管する案内もあります。 (出典:日本小児歯科学会「4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」)
子どもに使う場合は、年齢に合う量を大人が出してあげると安心です。不安がある方は、歯科医院で使う量を相談してみてください。
3.6. フッ素は、あり・なしどっちがいい?
無添加歯磨き粉には、フッ素入りとフッ素なしがあります。
| 目的 | 合うタイプ |
|---|---|
| 虫歯予防を重視したい | フッ素「入り」の無添加歯磨き粉 |
| フッ素も避けたい | フッ素「なし」の無添加歯磨き粉 |
目的によって、あり・なしを選びましょう。
4. 無添加歯磨き粉に関するよくある質問
ここでは、無添加歯磨き粉に関するよくある質問を短く整理します。
4.1. 虫歯対策するなら?
A. まずは、虫歯対策を歯磨き粉だけで考えないことです。毎日のブラッシング、磨き残しの少なさ、間食の回数、フロスの使用も関係します。なかでもブラッシングは、歯みがきの基本です。歯磨き粉の成分を見る前に、歯にきちんとブラシが当たっているかも見直しましょう。
そのうえで、歯磨き粉の成分を見るなら、フッ化物配合かどうかは確認ポイントのひとつです。無添加歯磨き粉には、フッ化物入りの商品も、フッ化物不使用の商品もあります。詳しくは「3. 無添加歯磨き粉とフッ素の関係」で解説しています。
4.2. 添加物が不安な場合、使用量を減らすのはあり?
A. ありです。香味や刺激が不安な場合は、少量から試す方法もあります。
ただし、添加物そのものが気になる方は、使用量を減らすより無添加タイプを選ぶほうが安心です。
4.3. フッ素入り無添加歯磨き粉はある?
A. あります。
無添加歯磨き粉にも、フッ化物入りの商品はあります。
くわしくは「3.6. 無添加歯磨き粉ではフッ素をどう考える?」で解説しています。
4.4. 子どもに使うときは何を見る?
A. まずは、子ども向けの商品かを見ましょう。対象年齢や使用方法を確認します。
発泡剤・合成香料・着色料などが気になる場合は、無添加タイプ。(ただし、虫歯対策まで考えるなら、フッ素入りかフッ素不使用かも見ておきましょう。)
子どもは量を出しすぎやすいので、大人が歯ブラシに出してあげると安心です。
4.5. 市販・ドラッグストアで買える?
市販やドラッグストアでも、無添加歯磨き粉を購入できます。こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶ ドラッグストアで買える無添加歯磨き粉|安心・安全なおすすめ5選と選び方ガイド
5. まとめ|無添加歯磨き粉はデメリットだけで判断しないことが大切

ここまでをまとめると、
無添加歯磨き粉のデメリット
- 泡立ちが少なく、物足りなく感じることがある
- ミントの爽快感が控えめな商品もある
- 一般的な歯磨き粉より価格が高めの商品もある
ただし、これらは「悪い点」とも言い切れません。
見方を変えるとメリットになる点
- 泡立ちが少ない分、口の中が泡だらけになりにくく、落ち着いて磨ける
- 香味が控えめな分、強い刺激が苦手な方には合う
- 価格が高めでも、添加物への不安を減らしたい方には選ぶ理由になる
つまり、無添加歯磨き粉のデメリットは、知ったうえで自分に合うか判断することが大切です。
市販やドラッグストアで買える無添加歯磨き粉を具体的に見たい方は、次の記事も参考にしてください。
▶ ドラッグストアで買える無添加歯磨き粉|安心・安全なおすすめ5選と選び方ガイド
