パンやラーメン、うどん、クッキーなど、毎日の食事に小麦はたくさん使われています。
でも最近、

小麦は体に悪いの?
外国の小麦って大丈夫なのかな?
と心配する人が増えてきました。
特に「国産小麦って本当に安全なの?」と気になりますよね。
この記事では国産小麦と外国産小麦の違いや、体にやさしい小麦の選び方について解説します。
1. 小麦と健康の関係
小麦製品はおいしくて手軽ですが、「グルテン過敏症」「小麦アレルギー」といったワードを耳にする機会も増えています。
- グルテンが腸に負担をかけるのでは?
- 輸入小麦に農薬が残っていたら?
そんな不安を感じる人にとって、「国産小麦」はひとつの安心材料になります。
2. 国産小麦と外国産小麦の違いとは
日本で流通している小麦の約8割は外国産。パンやラーメンに使われる強力粉も、ほとんどが輸入品です。
ですが、国産小麦には以下のような安心できる特徴があります。
3. 小麦粉を選ぶのに知っておきたい|ポイント3点
3.1 ポイント①|使用される農薬の比較

3.1.1 海外小麦の農薬使用回数:約3回
・小麦の育成時には農薬を使うことがあります。
・海外では、収穫前に除草剤(グリホサート)を散布するケースがあり、小麦に残る可能性があります。
・さらに、輸出時には長期輸送による劣化を防ぐために「ポストハーベスト農薬」と呼ばれる処理がされることもあります。
→つまり、アメリカなどの海外小麦には最低3回の農薬処理がされている可能性があります。
段階 | 処理の目的 | 使用される薬剤例 | 補足 |
---|---|---|---|
① 小麦の育成中 | 病害虫・雑草対策 | 一般農薬(殺菌剤・除草剤など) | 成長を守るための通常処理 |
② 収穫直前(プレハーベスト処理) | 乾燥促進・収穫効率向上 | グリホサート(除草剤) | 作物にも残留しやすい |
③ 収穫後(輸出時) | 長距離輸送中の防虫・防カビ | ポストハーベスト農薬 | 日本では禁止されている処理 |
3.1.2 国産小麦の農薬使用回数:およそ1回
日本では、収穫前後の農薬使用が制限されており、ポストハーベスト農薬の使用も禁止されています。
そのため、国産小麦は農薬の残留リスクが低いのが特徴です。
段階 | 農薬の使用 | 詳細 |
---|---|---|
① 育成中 | ✅ 一部使用される場合あり | 雑草・病害虫の防除として必要最小限の農薬(除草剤や殺菌剤など)を使うケースがある |
② 収穫前 | ❌ 原則禁止 | 日本では、収穫直前のグリホサート散布は禁止(プレハーベスト処理なし) |
③ 収穫後 | ❌ 使用禁止 | 「ポストハーベスト農薬」は法律で禁止されている |
3.1.2.1 国産小麦はパッケージ工程でも農薬処理はされない
国産小麦は、以下のような流れでパッケージされます:
- 収穫
- 乾燥・選別
- 製粉
- 袋詰め(パッケージング)
- 出荷・流通
→ この一連の流れの中で、農薬や防腐剤、防カビ剤などの薬剤を追加で使用することはありません。
3.2 ポイント②|遺伝子組み換えの混入リスク
3.2.1 海外小麦の場合
・海外では実験的に遺伝子組み換え小麦が栽培されており、ほかの小麦に混ざる可能性があります。
・アメリカなど一部地域では既に混入事例も報告されています。
→つまり、100%の安全性が保証されているとは言い切れません。
3.2.2 国産小麦の場合
👉 日本では、遺伝子組み換え小麦の商業栽培は行われておらず、基本的に混入の心配はありません。
遺伝子組換え食品とは、別の生物の細胞から取り出した有用な性質を持つ遺伝子を、その性質を持たせたい植物等の細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせる技術を用いて開発された作物及びこれを原料とする加工食品です。
出典:消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 消費者安全 > 食品安全に関する取組 > 項目別の情報 > 遺伝子組換え食品
例えば、害虫抵抗性のとうもろこしでは、農薬をまかなくても害虫の繁殖を抑えることができるため、収穫量も多くなります。また、除草剤耐性の大豆では、雑草を除く作業が楽になるだけでなく、雑草を取り除くために土を掘り返さなくてもよくなるため、地表の土壌が風により舞い上がって失われるのを防ぐことができます。このように、これまでの技術では開発できなかった新しい性質を持った品種は、食糧問題や環境保全にも大きなメリットがあります。
一方で、このような特定のメリットをもたらす遺伝子組換え食品が健康や環境に対しての問題を引き起こすことがあってはなりません。
出典:消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 消費者安全 > 食品安全に関する取組 > 項目別の情報 > 遺伝子組換え食品
3.3 ポイント③|生産者や産地の「見える化」
国産小麦は、どこで誰が育てたのかがラベルなどで明記されていることが多く、トレーサビリティ(追跡可能性)が確保されています。
→つまり、「顔が見える」安心感があるのが国産小麦の魅力です。

4. 国産小麦を選ぶときの3つコツ
4.1 表示をチェック
「有機JASマーク」や「無農薬」などの表示がある商品は、より自然な農法で育てられている可能性が高いです。信頼できるマークを目安に選ぶと安心です。
4.2 「国内製造」=国産ではない
一見すると「国内製造」と書かれていると国産小麦を使っているように見えるかもしれませんが、これは誤解しやすいポイントです。
実際には、外国産の小麦を日本で製粉しただけの「輸入小麦」が多く使われています。
👉 本当に国産小麦を選びたい場合は、「小麦(国産)」と明記されたものを確認しましょう。
4.3 生産者やブランドの情報をチェック
「国産」と書かれていても、小麦の産地や育てた人の情報が明記されているかどうかで安心感が大きく変わります。
とくに、産直商品や地元の製粉会社が出しているものは、透明性が高く、こだわりが感じられる商品が多い傾向にあります。
5. よくある質問|Q&A
Q1. 国産小麦なら完全に無農薬なんですか?
A. 必ずしも「完全無農薬」とは限りません。
育成中に必要最小限の農薬が使われることはありますが、収穫前後の農薬使用やポストハーベスト処理は法律で禁止されています。
より自然なものを選びたい場合は、「有機JAS」「無農薬」などの表示も確認すると良いでしょう。
Q2.「国内製造」と「国産小麦」の違いって?
A. 「国内製造」は製粉や加工の場所が日本という意味。
原料の小麦自体は外国産であることがほとんどです。
「小麦(国産)」と原材料に明記されているかをチェックするのが確実です。
Q3. 国産小麦ってグルテンが少ないって本当?
A. はい、品種によりますが、外国産(強力粉)に比べてグルテン含有量が少ないものが多いです。
たとえば、「はるゆたか」や「ゆめちから」などの国産小麦は、パン作りでも人気があります。
グルテンの摂取を控えたい方にもおすすめです。
6. まとめ|小麦選びは「原料の素性」で決まる
- 農薬処理の回数に注目(海外:最大3回、国産:最大1回)
- ラベルに「小麦(国産)」とあるか確認
- 生産地・生産者が明記されたものを選ぶ
パンや麺類に欠かせない小麦ですが、外国産と国産では安全性に大きな違いがあります。
特に海外小麦は、
- 育成中
- 収穫前
- 収穫後(輸出時)
という3段階で農薬が使われている可能性があり、その残留リスクは決して小さくありません。
一方で、国産小麦は農薬使用が制限されており、ポストハーベスト農薬や収穫前の除草剤も不使用。
さらに、製粉〜流通においても追加の農薬処理はされず、安心して口にできる選択肢です。
また、「国内製造」と「国産」の違いにも注意が必要です。パッケージ表示をよく見て、「小麦(国産)」の明記があるものを選ぶようにしましょう。