忙しい朝や、仕事の合間のひと息に欠かせないインスタントコーヒー。
お湯を注ぐだけで手軽に楽しめる便利さから、今や多くの人に愛されています。
しかし近年、「インスタントコーヒーは体に悪いのでは?」と心配する声も聞かれるようになりました。
健康志向が高まる中で、安全性や成分についての関心が強まっているのです。
この記事では、インスタントコーヒーに関する健康リスクやメリット、
安全に楽しむためのコツをわかりやすく解説します。
リスクを正しく知り、上手にインスタントコーヒーと付き合っていきましょう。
1. インスタントコーヒー人気と健康志向の高まり
手軽さとコスパの高さで人気を集めるインスタントコーヒー。
一方で、健康への影響を心配する声も年々増えています。
1.1 手軽さとコストパフォーマンスの魅力
インスタントコーヒーは、
- お湯だけで完成
- 価格が手頃
- 長期保存が可能 といった理由から、家庭でもオフィスでも大活躍。
特にコーヒー好きにとっては、毎日手軽に楽しめる心強い味方です。
1.2 健康志向の高まりと安全性への疑問
しかし最近では、原材料や製造過程に関する不安の声も。
「本当に体に悪くないの?」「安価なコーヒーにリスクはない?」と、
品質や安全性に注目する人が増えています。
2. インスタントコーヒーに使われる豆の輸送・保管方法
インスタントコーヒーの原料となる豆は、長い輸送と保管を経て私たちの元に届きます。
この過程に、品質や安全性に関わるリスクが潜んでいるのです。
2.1 長距離輸送による品質劣化のリスク
輸送中の温度や湿度の管理が不十分だと、
- 酸化による風味低下
- 品質劣化 が進む恐れがあります。
特に赤道直下の高温地帯を通る場合は注意が必要です。
2.2 高温多湿環境でのカビ発生リスク
コーヒー豆は、主に南米やアフリカなどの生産地から日本に運ばれますが、その際には大型の輸送用コンテナを使用して運ばれるのが一般的です。
このコンテナ輸送はコスト効率に優れる反面、
- 赤道直下の高温多湿地帯を通過する
- 海上での長期保存(数週間) という状況が避けられません。
コンテナ内部は昼夜の温度差で結露が起きやすく、豆が湿気を吸ってカビが発生するリスクがあります。
実際、ブラジルやコロンビアなどから輸送された豆が、高温多湿下で品質低下し、カビ毒が発生したケースも報告されています。特に安価なコーヒー豆では管理が甘いこともあります。
カビが発生すると「カビ毒(マイコトキシン)」が作られます。中でも「オクラトキシンA」というカビ毒は、腎臓障害や免疫低下、さらにはがんのリスクを高める可能性があるため、注意が必要です。
2.3 保管時に使われる薬剤や保存処理の可能性
輸送や保管中に、防カビ剤や保存剤を使ってコーヒー豆を保護していることもあります。
これらの薬剤が豆に残ると、健康への影響が懸念される場合もあります。

3. インスタントコーヒーが体に悪いと言われる理由
手軽でおいしいインスタントコーヒーですが、いくつかの健康リスクも指摘されています。ここでは、特に注意したいポイントをまとめました。
リスク項目 | 内容 |
---|---|
アクリルアミドの含有 | 加熱過程で自然発生。大量摂取でがんリスクが指摘されるが、通常摂取では問題ないとされる。 |
カビ毒(オクラトキシンA) | 保管中のカビ発生により混入することがある。腎臓障害や発がんリスクが懸念される。 |
残留農薬 | 原料のコーヒー豆に農薬が残る可能性あり。長期的な健康影響が心配される。 |
カフェインの過剰摂取 | 飲みすぎると動悸、不眠、胃痛などの副作用が出る可能性がある。 |
空腹時の飲用による胃への負担 | 胃酸分泌が促進され、胃痛や胃もたれの原因になることがある。 |
砂糖・ミルク添加製品によるカロリー過多 | 3in1タイプなどは糖分・脂肪分が多く、過剰摂取すると肥満リスクが高まる。 |
それぞれのリスクについて、次から詳しく見ていきましょう。
3.1 アクリルアミドの含有とリスク
インスタントコーヒーには、加熱工程で自然発生する「アクリルアミド」が微量含まれています。
アクリルアミドは、動物実験ではがんのリスクが指摘されており、過剰摂取は注意が必要です。
アクリルアミドがヒトの健康に与える有害な影響としては、神経に対する毒性が以前から知られていました。アクリルアミドを取り扱う工場や工事現場などで、事故により労働者が大量にアクリルアミドを吸入したり、接触したりしてしまった場合に、手足が震える、感覚が麻痺するなどの神経障害あったことが報告されています。
出典:農林水産省ホーム>消費・安全>食品中のアクリルアミドに関する情報>アクリルアミドの健康影響
通常の飲食で大きな問題になる可能性は低いですが、なるべく少ない方が安心です。
アクリルアミドの微量摂取による影響は?
インスタントコーヒーに含まれる「アクリルアミド」は、製造過程の加熱によって自然にできる成分です。
動物実験では、大量に摂取した場合にがんのリスクが高まる可能性が指摘されています。
ただし、インスタントコーヒーに含まれるアクリルアミドの量はごくわずかです。
【例】
- コーヒー1杯(約150ml)あたりのアクリルアミド量は、おおよそ0.45~1.8マイクログラム程度とされています。
厚生労働省や食品安全委員会も、「通常の飲食で健康への重大な影響は考えにくい」としています。
Q4:私たちは、どのような食品からアクリルアミドを摂取していますか。アクリルアミド濃度が高い食品は食べない方がよいですか。
→A4: 食品安全委員会の評価によれば、日本人のアクリルアミド平均摂取量における食品グループ別の摂取割合については、高温調理した野菜(炒めたもやし、フライドポテト、炒めたたまねぎ、炒めたれんこん、炒めたキャベツ等。56%)、飲料(コーヒー、緑茶・ウーロン茶、麦茶等。17%)、菓子類・糖類(ポテトスナック、小麦系菓子類、米菓類等。16%)、穀類(パン類等。5.3%)及びその他の食品(ルウ等。6.2%)と推定されています。アクリルアミドの摂取量を控えるために、特定の食品の摂取を控えるなどの偏った食生活を送った場合や食品の加熱を控えた場合は、人体に必要な栄養成分を十分に摂取できなくなるおそれや、食中毒のリスクが高まる可能性があります。大切なのは、十分な果実、野菜を含む様々な食品をバランスよく取り、揚げ物や脂肪分が多い食品の過度な摂取を控えることです。バランスの良い食生活を送ることで、アクリルアミドを多く含む食品の摂取量も大きくならないので、食品全体から摂取されるアクリルアミドの量も抑えることになります。
出典:厚生労働省ホーム> 政策について> 分野別の政策一覧> 健康・医療> 食品> 食品中の汚染物質の情報> 加工食品中アクリルアミドに関するQ&A
つまり、普通にコーヒーを楽しむ範囲であれば、過度に心配する必要はないといえるでしょう。
ただし、気になる場合は
- 飲みすぎを控える(1日2〜3杯程度)
- 他の高アクリルアミド食品(ポテトチップス、揚げ菓子など)とのバランスを考える など、ちょっとした工夫をするのもおすすめです。
3.2 残留農薬の可能性とその影響
農薬の使われた豆から作られたコーヒーには、微量ながら農薬が残ることもあります。
これが長年にわたり体内に蓄積されると、健康に影響を及ぼす可能性があると考えられています。
3.3 カビ毒(オクラトキシンA)の検出例
コーヒーにカビが生えると、「カビ毒(マイコトキシン)」という有害な物質が生まれます。
この「カビ毒(マイコトキシン)」の中でも「オクラトキシンA」という毒素は特に問題視されています。
オクラトキシンAは、
- 腎臓を傷める
- 免疫力を下げる
- がんのリスクを高める といった影響が心配されています。
実際に、過去には輸入されたコーヒー豆から、オクラトキシンAが日本の基準値(1kgあたり5マイクログラム)を超えて検出されたケースがありました。
このときは、厚生労働省によるモニタリング検査で違反が見つかり、問題となったインスタントコーヒー製品が自主回収されました。
【検査の流れ】
- 厚生労働省が輸入時にサンプル検査
- オクラトキシンAの量が基準値を超過していることを確認
- 対象製品を市場から自主回収
- 対応後、輸入業者には再発防止策の徹底が求められた
幸い、健康被害の報告は出ていませんでしたが、
このような事例があることから、日本ではコーヒー豆やインスタント製品に対して、輸入時に厳しい検査を実施しています。
そのため、現在日本国内で流通しているインスタントコーヒーのほとんどは、基準をクリアした安全な商品だと考えられています。

世界のオクラトキシンA基準のちがい
コーヒーにできるカビ毒「オクラトキシンA」には、飲んでも安心できる量の目安(基準)が決められています。
この基準は国によって少しずつちがいます。
地域・国 | 基準の目安 | ポイント |
---|---|---|
日本 | 1kgあたり5マイクログラム(5ppb) | 輸入されるときにチェックされる |
ヨーロッパ(EU) | 1kgあたり5マイクログラム(5ppb) | 焙煎後の製品もきびしく管理される |
アメリカ(FDA) | はっきりした基準はない | 体に悪そうなら注意するルールあり |
日本とヨーロッパでは同じ基準ですが、ヨーロッパは焙煎後の商品にも厳しいルールがあるので、より安全と言えます。
4. インスタントコーヒーの健康への影響
飲み方によって、インスタントコーヒーは体に良い面も悪い面もあります。
4.1 カフェインの過剰摂取による副作用
カフェインを摂りすぎると、下記のようなことが起こることがあります。
- 動悸
- 不眠
- イライラ など
飲み物 | カフェイン量(1杯あたり) |
---|---|
インスタントコーヒー | 約60〜80mg |
ドリップコーヒー | 約100〜150mg |
1日に400mgくらいまでを目安にしましょう。
4.2 空腹時の摂取による胃への負担
空腹時にコーヒーを飲むと、胃酸が増えて胃に負担をかけることがあります。
できれば食後に飲むのがおすすめです。
4.3 砂糖やミルクの添加によるカロリー増加
砂糖やミルクが入ったインスタントコーヒーは、知らないうちにカロリーが高くなっていることもあります。
ダイエット中の人は特に注意しましょう。
5. インスタントコーヒーのメリット

もちろん、インスタントコーヒーにも体に良い点がたくさんあります。
5.1 ポリフェノールによる抗酸化作用
コーヒーにはポリフェノールが多く含まれており、下記のような働きが期待できます。
- 老化を防ぐ
- 生活習慣病を予防する
5.2 カフェインによる集中力向上
カフェインには集中力を高めたり、リフレッシュ効果をもたらす力があります。
仕事や勉強の合間に飲むと、パフォーマンスが上がるかもしれません。
5.3 手軽に楽しめる利便性
お湯だけで作れるので、忙しいときでも簡単に本格的なコーヒーを楽しめるのが魅力です。
6. 安全にインスタントコーヒーを楽しむためのポイント

リスクを減らしつつ、コーヒーを楽しむためのポイントを紹介します。
6.1 有機JAS認証など信頼できる製品の選択
オーガニック認証を受けた製品を選べば、農薬や添加物のリスクを減らすことができます。
パッケージに「有機JAS」マークがあるかチェックしましょう。
6.2 適切な保存方法と賞味期限の確認
開封後は湿気を避けて密閉容器に入れ、直射日光を避けて保存しましょう。
賞味期限も必ず確認し、なるべく早く飲みきることが大切です。
6.3 1日の摂取量とタイミングの工夫
- 1日2〜3杯まで
- 夜遅くは飲まない
こうすることで、カフェインの摂りすぎや睡眠トラブルを防ぐことができます。
まとめ:インスタントコーヒーとの上手な付き合い方

インスタントコーヒーには、手軽さやメリットがある一方で、気をつけたいポイントもいくつかありました。
ここからは、インスタントコーヒーをもっと安心して楽しむために、リスクと上手に付き合うコツを最後にまとめると…
7.1 リスクとメリットのバランスを考える
インスタントコーヒーにはリスクもメリットもあります。
大切なのは、「どんな製品を選び、どんな飲み方をするか」を意識することです。
7.2 健康的なコーヒーライフのためのアドバイス
- 信頼できる製品を選ぶ
- 適量を守る
- 空腹時を避ける
これらを意識して、インスタントコーヒーを楽しく、健康的に取り入れていきましょう!