健康志向の高まりとともに注目されているグラスフェッドビーフ。しかし「まずい」「硬い」「臭い」と感じる人も少なくありません。特に、霜降りに慣れている日本人にとっては、その赤身の多さや独特の風味に戸惑うことも。本記事では、グラスフェッドビーフがまずいと感じる理由を解説しつつ、美味しく食べるための調理ポイントや選び方もご紹介します。
1. グラスフェッドビーフとは?
まず、グラスフェッドビーフとは何か?その基本を知ることで、誤解が解けて味わい方も変わってきます。
1.1 グラスフェッドビーフの定義と特徴
グラスフェッドビーフとは、牛が牧草を主食として育った牛肉のこと。人工飼料ではなく、自然の中で放牧されながら成長するため、赤身中心で脂肪分が少ないのが特徴です。低脂質・高タンパク、そしてオメガ3脂肪酸やビタミンEなど、栄養面でも優れています。
1.2 グレインフェッドビーフとの違い
一般的に流通しているのは、グレインフェッドビーフ(穀物飼育)。霜降りが多く、柔らかくジューシーな肉質が特徴です。
一方グラスフェッドは、「噛むほどに味が出る」「自然の味わいがする」と評される反面、調理によっては硬くなりやすく、「まずい」と誤解される原因にもなります。
特徴 | グラスフェッド | グレインフェッド |
---|---|---|
飼育方法 | 放牧+牧草 | 穀物肥育 |
肉質 | 赤身中心で硬め | 脂肪多めで柔らかい |
味の特徴 | 野性的・濃厚 | マイルド・甘みあり |
栄養面 | オメガ3、ビタミン豊富 | 高脂肪・高カロリー |
1.3 健康面でのメリット
アメリカ農務省(USDA)の調査によれば、グラスフェッドビーフは、グレインフェッドに比べて抗酸化物質が多く含まれ、心血管リスクの低下や抗炎症効果も期待できると報告されています。
1.4 グラスフェッドビーフの歴史と背景
本来、牛は草食動物であり、穀物を大量に食べるようになったのは人間の都合による肥育法の変化から。グラスフェッドは、牛の自然な育ち方を尊重した飼育方法であり、アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドではサステナブルな食肉としても注目されています。

2. グラスフェッドビーフが「まずい」と感じる理由
美味しい肉のはずなのに、なぜ「まずい」と感じるのでしょうか?その理由を分解して解説します。
2.1 独特の風味や香り(グラス臭)
「草のにおいがする」「獣っぽい香りが気になる」と感じる方もいます。これは、牧草由来の脂肪酸(α-リノレン酸やCLAなど)が香りに影響するためです。逆にこの香りを「旨み」と感じる人もいるため、好みが分かれるところです。
2.2 脂肪分が少なく、肉質が硬め
赤身中心であるグラスフェッドは、火の通し方を間違えるとすぐにパサつき、硬くなります。脂が潤滑油の役割を果たさないため、焼きすぎ厳禁です。
2.3 調理方法による味の違い
高温で長く焼いたり、しっかり火を通そうとすると逆効果。肉汁が逃げ、風味も損なわれてしまいます。
3. 美味しく食べるための調理ポイント
「まずい」と感じていた人も、調理法ひとつで驚くほど美味しく食べられるようになります。

3.1 適切な焼き加減と温度管理
・中心温度55〜60℃のミディアムレアを目指しましょう
・焼く前に常温に戻す
・焼いたら2〜3分休ませて肉汁を落ち着かせる
3.2 マリネやソースで風味を調整
以下のようなマリネ液が特に効果的です:
- 赤ワイン100ml+にんにく1片+ローズマリー適量(洋風)
- プレーンヨーグルト大さじ3+カレー粉小さじ1+レモン汁少々(スパイシー風)
- 玉ねぎすりおろし1/2個+味噌大さじ1+みりん大さじ1(和風)
最低でも30分、理想は2時間ほど漬け込むことで、臭みが消え、風味がまろやかになります。
3.3 部位ごとのおすすめ調理法
部位 | 調理法 | 備考 |
---|---|---|
サーロイン | ステーキ | 高温で短時間焼く+休ませる |
モモ | ローストビーフ | 低温調理でやわらかく |
スネ肉 | ビーフシチュー | 長時間煮込みでホロホロに |
ミンチ | ハンバーグ・タコス | 子供にも食べやすい形に |
4. グラスフェッドビーフの選び方
「選び方」も味を大きく左右します。
4.1 品質の良い製品の見分け方
- 「グラスフェッド100%」と明記されているか
- 表面にツヤがあり、ドリップが少ない
- 原産地・牧場名がはっきりしているものを選ぶ
4.2 信頼できる販売店やブランド
- 【国産】みやじ豚(神奈川)、阿蘇あか牛(熊本)、奥丹波牛(兵庫)
- 【海外】シルバーファーン(NZ)、グラスランド(豪)
4.3 国産と輸入品の違い
国産は香りが控えめで、初心者にも食べやすいのが特徴。輸入品はワイルドな風味がある分、価格が安く手に入りやすいというメリットがあります。
5. 筆者の体験談:最初は「まずい」と思ったけど…
私自身、最初に食べたグラスフェッドは「固いし、なんか草っぽい…」と正直思いました。失敗でした。でも調理法を見直し、ヨーグルト+スパイスでマリネして低温で焼いたところ、びっくりするほど美味しく変化。今ではシルバーファーンのリブロースをリピートしています。ステーキはもちろん、炒め物やスープにも使っています。
6. グラスフェッドビーフに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 臭みを消す方法は?
マリネ(柑橘・ハーブ・発酵食品)+焼き方の工夫で解決します。特にヨーグルトマリネ+にんにくは効果的。
Q2. 子供や高齢者でも食べられる?
ミンチにしてハンバーグやミートソースにすると、噛みやすく、栄養価も高いためおすすめです。
Q3. 解凍するとまずくなりますか?
急速冷凍されたものを冷蔵庫でじっくり解凍すれば、品質劣化はほぼ防げます。常温解凍や電子レンジはNG。
Q4. ダイエット中に向いていますか?
赤身中心・低脂質で、オメガ3も摂れるため非常に向いています。糖質制限や脂質制限中にも安心。
Q5. おすすめの料理は何?
ステーキやローストビーフのほか、野菜と炒めるビーフソテー、煮込みカレー、スープも相性抜群です。

7. まとめ
7.1 特徴と美味しく食べるコツの再確認
- グラスフェッドは自然放牧で育った赤身肉
- 「まずい」と感じるのは調理法と選び方次第
- 焼きすぎに注意し、マリネや部位で調整を
- 健康志向で栄養価も高く、ダイエットにも◎
7.2 自分の好みに合った選び方と調理法で、グラスフェッドビーフを楽しもう
少しの工夫で、グラスフェッドビーフは「美味しい、ヘルシーなごちそう」に変わります。
ぜひ今回紹介した調理法や選び方を試して、自分好みの一皿を見つけてみてください。